ブリヂストン/住友ゴム工業/横浜ゴム
京都機械工具/東日製作所
トピー工業/HWエレクトロ
「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」(以下、JMS)のタイヤメーカー3社の展示ブースでは、最先端の技術を結集し開発したタイヤが公開された。各社の技術担当から談話形式で出展の一部を紹介してもらった。また、タイヤと深く関連する京都機械工具、東日製作所、トピー工業、グッドライドジャパンのグループ企業であるHWエレクトロの各ブースの見どころをレポート。カーメーカー各社のコンセプトカーとそれに装着されたコンセプトタイヤについて、レポートする。
ブリヂストン 執行役専務技術・品質経営分掌・GlobalCTO 坂野真人氏=写真1=「ブリヂストンの商品設計基盤技術『ENLITEN』と、モノづくり基盤技術『BCMA』を融合させることで、市場やお客様のニーズに合わせ性能をカスタマイズする――それを具現化したタイヤが、EV時代を見据え開発し北米で発売の「TURANZA EV」であり、欧州で発売した「TURANZA 6」だ。
また、JAXAと共同で研究を進める月面探査車用タイヤには、気温がマイナス170℃〜120℃という較差や放射線が降り注ぐ厳しい環境にあるためゴム材料が使えない。骨格や接地面などすべてを金属素材を採用した。航空機用をはじめとする、これまでのタイヤ開発で培ったぼう大な知見と技術を活用している」
住友ゴム工業 材料開発本部材料第四部長 池田啓二氏=写真2=「『アクティブトレッド』技術は2タイプの開発を行っている。『タイプウェット』は信越化学、クラレ、ENEOSマテリアルと共同開発した、イオン結合ポリマーをゴムの中に持つ。それが水に反応してゴムが柔らかくなることでウェット路面にしっかりと密着する。水がなくなるとドライに最適なゴムに戻る。『タイプアイス』は、温度が低くなると通常、物質は固くなるのだが、それに対し冷たくなると柔らかくなる素材を北海道大学との共同で開発した。凍結路面で柔らかくなることで路面との接触が大きくなり密着する。これも温度が高くなるとドライに最適なゴムに戻る。2タイプともに化学反応を起こし路面状況に合わせた性能を発揮する」
横浜ゴム アドバイザリーフェローPh.D.研究先行開発本部材料機能研究室 日座操氏=写真3=「23年から全日本スーパーフォーミュラ選手権に、原材料の33%にサステナブル素材を使用した『ADVAN レーシングタイヤ』を供給している。環境負荷の低い再生可能原料や廃タイヤ由来の再生ゴムなどのサステナブル素材を全体の33%使用しつつ、22年選手権で供給したタイヤと同等の性能を確保した。オレンジオイルなどの天然素材を採用してきた、これまでの技術が開発の礎となっている。2030年再生可能原料・リサイクル原料使用率30%以上をサーキュラーエコノミーの中期目標として掲げる。非連続イノベーションやオープンイノベーションを活用し、達成に向け取り組む」
京都機械工具 デジタルトルクツール「デジラチェ」シリーズとトルク測定値を記録・管理する「メモルク」シリーズに、新しい機能を追加したニューモデル=写真4=を10月から新発売。機能美を追求したnepros(ネプロス)漆ラチェットハンドルと合わせ出展した。
東日製作所 ロボット用トルクセンサー内蔵バッテリー式全自動電動トルクドライバー「PTA RO」=写真5=をワールドプレミアとして参考出品した。
トピー工業 ホイールが回転することで発電する新技術「トピー グリーン ホイール テクノロジー」を実演デモ。環境負荷低減を目指す乗用車用アルミホイール「トピー サステナブル ホイール」を出展した=写真6=。
HWエレクトロ 小型商用車に特化したEVメーカーの同社は、新型車「PUZZLE」(パズル)を初公開した。合理的な設計思想によりレイアウトフリーの運転席と無駄のない荷室空間を実現。部品点数を減らすことでハードウェアをコストダウンし、ソフトウェアやコネクテッドサービスの充実を図った。