ドライブスルーでアライメント測定 タイヤ館甲賀が日本初導入
イヤサカ×米ハンター社「クイックチェックドライブ」
イヤサカはこのほど、ドライブスルー(通過式)アライメント検査システム「クイックチェックドライブ」(QCD=写真1=)の本格展開をスタートした。9月、滋賀県甲賀市のタイヤ館甲賀がそれを導入し稼働を開始した。タイヤショップとしては日本で初めての導入事例となる。
QCDは、米国ハンター・エンジニアリング社製のタッチレス・インスペクション・シリーズの一つ。通過式タイヤトレッド検査システム「クイックトレッドエッジ」(QTE)とともに、イヤサカが日本市場に投入し本格販売をスタートした。
タッチレス・インスペクションQCDは設置された検査機本体=写真2=に車両を通過させドライブスルー方式で検査測定するもの=写真3=。カメラレーザーを使用した独自のシステムで、QCDはトータルトゥとキャンバーを計測。QTEの場合はタイヤ溝の深さと偏摩耗(異常摩耗)の状況を自動で測定することができる。
QCDで測定した結果は、検査時の異常値を除いた最大16個のデータから数値を平均化。それにより、「車両を停止せずに、検査機を通過する」という〝動的〟な測定方法でも安定した測定値を得ることが可能になった。
その測定結果は瞬時にパソコンやモニター画面で表示することが可能=写真4=。足回り整備の作業品質向上と一層の効率化を実現した。また、その場で来店客に測定結果を提示し情報を共有することができるので、ホイールアライメントのビジネス提案の〝きっかけ〟づくりとなることが期待される。
日本市場では、ホイールアライメントの認知度はまだ高くなく、ユーザーに「『ホイールアライメントとは』という説明から始めなければならない」と指摘するタイヤ販売店の声は少なくない。「キャンバーやトゥの角度にズレがあることによる影響」や「ズレを調整するメリット」への認識はさらに低い。
インチアップなど車両をカスタマイズしたときや縁石への衝突といった衝撃などによりタイヤ接地面にズレが生じる。またそのような具体的な事象がなくても経年劣化で徐々にタイヤ接地面にズレが起きてしまう。
ソリューションサービスとして顧客に提案するタイヤ販売店にとって、ホイールアライメントはマネタイズの機会となり作業工賃の収益向上につながる確かなビジネス商材だ。ただ作業するスタッフにも知識と技能が求められるのも事実。
さらに、ホイールアライメントの「調整」は作業に時間がかかる。一方で「調整」作業の前に行う「測定」も、アライメントに使用する機器の種類やピット作業場のレイアウトによっては、多少の時間を必要とするケースが多い。「測定」と「調整」に関わる作業時間と作業スタッフの配置をいかにマネジメントするか、タイヤ販売店の現場では重要なポイントだ。
タイヤ館甲賀(滋賀県甲賀市水口町北泉1—140=写真5=)は、QCDを日本で初導入したタイヤショップ。店長の田村智久氏=写真6=によると、同店ではこれまで年間平均で月に40〜50台程度、繁忙期では月に100台程度、ホイールアライメント作業を行っているという。準降雪地域であり、冬・夏タイヤへの交換シーズンがあることから、そのタイミングを利用し来店客にホイールアライメントを訴求してきていた。
田村店長は「アライメントの認知度はまだまだ低い。クルマを安心・安全にお使いいただきたいということが目的であり、ハンドリング性能や直進安定性、タイヤの経済性に直結するアライメント調整は重要なファクター。まず、測定を目的に来店されるお客様の数を増やしたい」との考えから、QCDを導入した。
アライメント測定にあたっては、ドライブスルー方式の強みを打ち出し「時間『ゼロ』費用『ゼロ』予約も『不要』」と訴求する。「調整に向けての最初のハードルを下げる」(田村店長)のがその狙い。タイヤ交換が目的の来店客にはその場で測定値を確認しながらアライメント調整を提案し、測定目的での来店客には次回来店のタイミングで調整を提案するという。
これまで測定から調整へと至る入庫率(ピットに入庫したクルマの割合)は3割程度だそうだ。調整を提案する商談の機会を増やすツールとしてQCDを活用し、入庫率を倍の6割へと高めたい考え。
また、エリアにはホイールアライメントに取り組む競合店は少ないという。QCDの導入で差別化を一気に強める方針だ。同店の商圏は現在、半径10キロ程度だが、田村店長は「滋賀県内だけでなく、隣接する三重県辺りからの広域集客につなげたい」と話す。
オンリーワンのサービスソリューションを展開し、店の存在性を力強くアピールしていく。