横浜ゴムは、上質な静粛性が持続するプレミアムコンフォートタイヤ「ADVAN dB 553」を日本とアジア市場で2月から順次発売する(14から21インチまで全46サイズをラインアップ)。それにともない同社は2023年12月21日、神奈川県の大磯プリンスホテル第一駐車場で試乗会を開催。本紙はこの「ADVAN dB 553」の性能を体感してきた。
この新商品は17年11月に市場デビューした「ADVAN dB 552」の後続モデルだ。静粛性に特化したタイヤブランドの7代目。
メディア向けに合同で行われた試乗会のこの日は晴天。やや風あり。12月にしては暖かい。第一駐車場から西湘バイパスで大磯港まで行って戻る約15分の行程。海を見ながらの快適なドライブとなった。
まずはTOYOTA プリウスから。タイヤは19インチを装着。走りだしてすぐに車内の静けさに驚かされる。一般道路上では風を切る音は聞こえるが、車両の下部から伝わる音は小さい。道路用伸縮装置(道路のつなぎ目)通過時に生じる音もマイルドだ。
次はHONDAのベストセラー、N-BOX。14インチを装着。一般的に走行中の軽自動車内では発音をはっきりとさせなければ会話は困難だが、大きな声を出さなくてもスムーズな会話が可能だ。路面の悪い道路では「ゴーッ」という音がするものだが、まろやかな音になっている。乗り心地快適。
3車目はTOYOTAの人気車種、アルファード。19インチを装着。「ADVAN dB 553」の真価を最も体感しやすかった車種がこのアルファードだ。粗い路面から滑らかな路面に移る時に旧来モデルとの違いを感じる。ロードノイズ量の差が少ない。つまり、粗い路面走行時もロードノイズが小さいのだ。
最後はMITSUBISHIエクリプスクロス。18インチを装着。タイヤの転がり音が本当に少ない。後部座席とも声をはらずに会話ができる。西湘バイパスでは風を切る音が大きく感じる。
都合4車種で感応評価した。もちろん車種によって違いはあるが静粛性は格段に向上している。
業務使用時でのスムーズな会話やファミリードライブ時のお子さんの安らかな睡眠の妨げとなるロードノイズは少なければ少ないほどよい。しかし、摩耗の進行によりこの静粛性がすぐに低下してしまえば交換につながりかねずかえって不経済だ。そこで「ADVAN dB 553」には、摩耗が進んでも新品時から構成要素が大きく変わらないパターンデザイン設計を施したという。
相反性能を落とさず
静粛性能を底上げ
大磯プリンスホテル第一駐車場で新品と摩耗品(摩耗率50~60%)とを比較試乗した。使用車種はクラウン。
グリップ感は当然、新品のほうが優れているがロードノイズは摩耗品でもほぼ変わらない。驚いたことにマンホール上を通過する時も発生音量はほぼ変わらない。もちろん新品も同様だが、60キロ出したときと80キロ出したときの音量の違いが感じられない。高速域での尖った音がない。凹凸路面上でも音はマイルドだ。
最後に摩耗した従来モデル「ADVAN dB 552」も試してみた。乗り心地に変化はないが音は変わる。ゴロゴロした感じ。スラローム時に「グオーッ」とした音が増える。
タイヤ製品開発第一設計部 川瀬博也部長に話をうかがった。
「性能レーダーチャートでは面積が全体的にアップしているバランスになっています。今回おり込んでいるパターンの溝はうまくバランスをとらないとドライ性能やグリップの安心性が低下してしまいます。他の性能を落とさないように摩耗性能をこれまでよりも底上げする。それを実現する調整には苦戦しましたね。トライアル&エラーも繰り返しつつ全体をバランスさせていくのに苦心しました。
コンパウンドなども含めて基本的には静粛性においてご好評をいただいておりました従来モデルとベースは同じです。
しかし、実際ユーザーとして自分が使う立場に立ってみれば摩耗の進行による性能低下が抑制されている、こんなにいい利点は確かにないわけで、今回ぜひそこ(上質な静粛性の持続)をおり込んでいきたい。そこを目標にした次第です。」
上質な静粛性が持続する性能を存分に体感できた。