レバーレス作業をセミオートで
軽労化と作業性の向上を両立
「第37回オートサービスショー2023」小野谷機工(福井県越前市)のブースでもっとも注目を集めた機器が「iota(イオタ)/iota Pro(イオタプロ)」だ。乗用車用タイヤチェンジャー「EXCEED」(エクシード)シリーズの新製品で、第9世代モデル。同社チェンジャーのフラッグシップ機種となる。そのデモンストレーションになぜ来場者が引き寄せられたのか。それは技術スキルと労力を要するレバーレス作業を、セミオート機能ならではの良さを発揮しながら難なくこなしてみせたからだ。商品開発本部サービス機器開発部部長の吉川真仁さんが再現してくれた。
「エクシード イオタ/イオタプロ」は、適用リム径10〜26インチ(10〜22/12〜24/14〜26)、適用リム幅3.5〜14インチ、最大タイヤ径1100ミリ×幅380ミリ。
吉川さんは「当社はレバーレス作業が可能なタイヤチェンジャーを数多くラインアップしているが、セミオート化を実現したのが新製品『イオタ/イオタプロ』」と、次のように紹介する。「作業者が操作ボタンを押している間、機械が自動でレバーレス作業を行い、なにか違和感や危険を感じボタンを放せば機械をその瞬間に停止するので、作業の安全を維持することができる」
タイヤを脱着する前の段階でビード落とし作業を行う。「イオタ/イオタプロ」は「ハンド式ビードブレーカー」を採用した。従来はそれを足元のペダルで操作するため、作業者は屈んだ姿勢で行わなければならなかった。だが新製品は手元レバーで操作できるので、楽な姿勢で作業することが可能となった。しかもブレーカーには「低速モード」という、刃先をジワジワと入れ込む衝撃緩和機能を持たせているので、作業時の反動が抑制され安全性を高めた。
チェンジャーのフォルムとしてはヨーロピアンタイプを継承。ターンテーブルにタイヤをセットする。新しい形状のチャック爪やホイール受けプロテクターを採用し、ホイールを傷付けずしっかりと固定する。テーブル回転は高速・低速の2スピード仕様を採用。エアブレーキ機構により自動でピタッと停止する。
吉川さんはサポートアームの「DTヘッド」をセットする。「従来は作業者が目視でおおよその位置を合わせていたが、『イオタプロ』にはレーザーポインターを新たに採用した。レーザーで目安の位置が示されるので、ヘッドの位置決めが容易となり作業効率が向上した」と説明する。「DTヘッド」は上ビードをしっかりとキャッチし落とさない新形状を採用した。またこの「DTヘッド」はワンタッチで「BPローラー」へと反転することが可能なデュアル機能とした。
ヘッドセット後からのレバーレス作業はオート機能となる。ハイエンド機種の「イオタプロ」には「ADP(オートディマウントプロセス)モニター」を採用した。機械が今、どの工程まで作業を進めているのかが、モニターを通じてひと目でわかる機能だ。進行中のグリーンランプ、工程の段替えをアラートするレッドランプを確認しながら、オペレーターはボタン操作を行う。
本体の各部と右側・左側のサポートアームそれぞれの部位に、タイヤビードに負担がかからない構造と材質、仕組みを採用。「DTヘッド」の挿入からビードアップ、ビード外し、マウントプレスなどの一連のレバーレス作業を安全で、作業者の負担を大幅に軽減し進行することを可能にした。
「サードプレス装置」や「ホイールプレス装置」「シリンダー昇降式アーム」など、「エクシード」シリーズのオリジナル機能はそのまま継続して搭載。一方でタイヤ組み付け時に使用する自動エア充てん機「PA−01」はスタイリッシュに一新した。縦型とすることで視認性と操作性を向上。ボタン自体にふくらみをもたせることで「押し感」をアップし、誤操作の防止を図った。
ボタン操作により自動でタイヤクリームを噴射することができる「液体タイヤクリーム噴射装置」を「イオタ」にはオプションで、「イオタプロ」には標準で装備した。
作業スピードや手際の良さをとくに重視したセミオートレバーレスチェンジャー、「エクシード イオタ/イオタプロ」。プロユースにこだわり開発した。