小野谷機工(株)  TB・LT用タイヤチェンジャー  「プロスーパー PSP−120」

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カテゴリー: レポート, 整備機器

 「スライドベース」を新採用

 ダブルアクション機構で速度アップ

 大型タイヤの交換作業を行う現場では今、シビアな課題に直面している。タイヤ整備機器の国産メーカー、小野谷機工(株)(福井県越前市)はその解決を目指し、さまざまな角度からアプローチし機器の開発に取り組む。

 

 現場で直面する課題の具体的事例をあげる。

 (1)「身体にかかる負担」――ホイール付きタイヤの重さが作業者の肉体に与える影響は大きい。〝慣れ〟として重量感が気にならなくなるケースもなかにはあるかもしれないが、慢性的な疲労が蓄積される。中腰にかがんで作業をする、立つ・しゃがむという動作を繰り返すことで腰や膝、肩の痛みの原因となる。

 (2)「人手不足」――技能の経験値により作業品質に大きな差が生じる。マンパワー頼みとなるので、作業効率が優先される。ベテランから技能を引き継ぐ若手人材が不足し、技能伝承に関する意欲も低い傾向にある。女性や外国人の技能実習生、シルバー人材を積極採用するなどの取り組みがみられるが、普遍化には至っておらず、現場の高齢化に歯止めはかかっていない。

 (3)「作業環境」――作業で機器を使用するために発電機や空気コンプレッサーを使うケースが多い。作業場ではそれらが恒常的に振動や騒音を発する。作業スペースに限りがあるので、機器を扱う際にエアホースや電源コードの取り回しに気を配る必要があり、作業性に影響が及ぶ。

 

 これらは国交省が取り組む「自動車整備要員の人材確保・育成について」や「女性が働きやすい環境づくりのためのガイドライン」でも指摘される。

本機と漆崎さん
本機と漆崎さん

 小野谷機工が新発売したTB・LT用タイヤチェンジャー「PROSUPER(プロスーパー) PSP−120」は、前記の「軽労化」「省人化」「作業環境」の改善を図った。商品開発本部サービス機器開発部リーダーの漆崎政弥さんが解説と実演デモを担当してくれた。

 

グレードアップした「ダブルアクション」のツール部
グレードアップした「ダブルアクション」のツール部

 「プロスーパー PSP−120」は、適用リム径16〜22.5インチ、チャック可能なハブ穴径110〜480ミリ、最大タイヤ径1100ミリ、最大タイヤ幅455ミリ。本体の左右1840〜2315ミリ×奥行き1380〜1760ミリ×高さ1190ミリ、本体

重量640キロ。漆崎さんは「コンパクトタイプに設計した。チューブレスタイヤの脱着に最適だ」と説明する。ロードサービサスカーにも搭載可能だ=オプションのサービスカー仕様=。

 ビードローラーのツール部とホイールをホールドするアーム部。このふたつが、スイッチボタンひとつの操作で同時に、相互に移動する「ダブルアクション」機構を搭載したのが「プロスーパー」シリーズの特徴。

操作性の高いコントロールボックス
操作性の高いコントロールボックス

 新製品の「PSP−120」はツール移動部に「スライドベース」を新たに採用した。「この『スライドベース』によりたわみ強度が従来モデルより大きく向上した。このため移動推力が従来品比で約40〜60%アップした」と、漆崎さんは指摘する。「ダブルアクション」機構をよりグレードアップすることで、大型タイヤの脱着作業を一層スピーディーに、パワフルに行うことを可能にした。

 

ビードローラーとマウントヘルパー
ビードローラーとマウントヘルパー

 漆崎さんによると、油圧ユニットにも改善を施したという。スイッチ操作により、操作している間のみ油圧ポンプが起動するので、ポンプからの騒音の発生を抑え、使用する電力量を低減した。また、これは作動油についても温度の上昇を抑えることに寄与し、劣化の抑制に効果を発揮するという。

 ビードローラーはテンションのかかるビード部に無理な負担をかけない最適な形状を採用。チューブレスタイヤの脱着を確実で安全に行うことができる。

 マウントヘルパー「楽なバー」を使用することで、タイヤの組み込み作業を大幅に軽労化した。

ホイールをつかむツール部
ホイールをつかむツール部

 「グレートツール」をはじめ「アーム高速スライド」「スイングアーム式操作リモコン」「タイヤ回転2スピード仕様」各種の「ホイール保護リング」などのオプション品を用意した。

 「作業者に負担のかかる大型チューブレスタイヤの脱着作業がひとりで、楽に、スピーディーにできるようになった。省スペース化を実現し、作業環境の向上も果たしている」と、漆崎さんはその性能に強い自信を示す。


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