スタンダードモデル新登場
むずかしい作業もすばやく確実に
軽労化・省力化と作業性の向上をどのようにして両立を図るか——。人手不足やスタッフの高齢化はタイヤ整備の現場が抱える切実なテーマだ。その喫緊の課題に真正面から取り組み、製品で解決策の具現化を図る小野谷機工(株)(福井県越前市)。乗用車用タイヤチェンジャー「EXCEED(エクシード)」シリーズの第9世代モデル、「エクシード iota(イオタ)」を開発し市場で展開している。同シリーズにこのほど新機種をラインアップに加えた。今回、その解説と実演デモを商品開発本部サービス機器開発部の竹内優作さんが担当してくれた。
「エクシード イオタ」シリーズは、小野谷機工の乗用車用タイヤチェンジャーでフラッグシップブランドと位置付けられる。そのなかで、上級モデルとなるのがレバーレス作業対応の「エクシード イオタ」、最上級モデルはセミオートでレバーレス作業を実現する「エクシード イオタPro(プロ)」。そこに今回、「エクシード イオタX」と「エクシード イオタS」を追加した。
竹内さんによると、「イオタX」はレバーレス装置付き、「イオタS」はレバーレス装置を搭載しない点が最も大きく異なるところだという。
「イオタX/S」は、適用リム径12〜26インチ(12〜24インチ、または14〜26インチ)、適用リム幅3.5〜14インチ、最大タイヤ径1100ミリ×幅380ミリ。
左側サポートには「イオタ」シリーズで共通する、剛性の高いマウントプレス装置とホイールプレス装置を搭載した。一方、右側サポートは「イオタX」と「イオタS」とで少し変わる。レバーレス作業対応の「イオタX」には、DTヘッドとBPローラーを手動で反転することが可能なデュアルツールを採用した。ビードプレス装置やビードアップ装置は「イオタX」「イオタS」ともに標準装備。
タイヤ脱着作業の前にビード落とし作業を行うが、そのためのビードブレーカーは「イオタX/S」ではフット式が標準搭載で、ハンド式はオプションでの選択となる。
「イオタ」シリーズは、ピットクルーが日ごろの作業で慣れ親しむヨーロピアンタイプ。竹内さんがターンテーブルにタイヤをセットする。「イオタX/S」はチャック爪の形状を新しくしたのが改良点の一つ。「従来よりも約13ミリ高い位置で固定します。それによりクリアランスを確保でき、ビードアップローラーの差し込み作業がしやすくなりました」と、竹内さんは説明する。
ターンテーブル上に配置されたホイール受けプロテクターにも工夫を凝らした。マグネットにより取り外しが可能だ。ホイールの傷付けを防ぎ、チャッキング時のスライダーの干渉を防止する。
傾倒させた支柱をスタンドさせ、タイヤをチャッキングする。左側サポートのホイールプレス装置により、ホイールをテーブルセンターに容易ですばやく確実に押さえることができる。アーム部だが、シリーズ上級機種はボタン操作でセットするシリンダー昇降式を標準採用したのに対し、スタンダードの「イオタX/S」ではそれはオプションとなり、一般的なスプリング昇降式を標準搭載した。
「イオタX」にはレバーレス装置を搭載しデュアルツールを採用しているが、上級機種と同様、ロック式シリンダーを採用した。竹内さんは「シリンダーを止めた位置で上下のロックがかかります。それによりデュアルツールの浮き上がりを防止し、作業を確実に進めることができます」という。
このデュアルツールのDTヘッドは新形状を採用。上ビードをしっかりとキャッチし落とさない形状だとして、すでに採用されている上級機種のユーザーから高い評価を得ているものだ。
「イオタX/S」は自動エアー充てん機をオプションで用意した。空気圧を示すメーターはダイヤルゲージタイプ。ダイヤル盤を大きくし、目盛りの視認性向上を図った。目盛りの単位をkPa値とすることで実用性も高めている。ペダル連動ゲージは標準で搭載した。
「ハイエンドクラス、ミドルクラスと展開してきた『エクシード イオタ』シリーズに、スタンダードクラスをラインアップしました。標準搭載の各パーツを一層使いやすくし、オプション品を豊富に用意することで、使いかたやタイヤ交換作業で重視するポイントに応じて、さまざまにカスタマイズすることが可能です」と、竹内さんは話す。
現場でのニーズにミートし作業効率を高めるとともに、製品ラインの拡充により〈自分に合った一台〉を導入しやすくなった。