スムーズな挙動 アイス性能が大幅に向上
TOYO TIREは11日、スタッドレスタイヤの新商品「OBSERVE GIZ3（オブザーブ・ギズ・スリー）」を上市するとリリースした。「アイス性能が大きく進化し、効きが長く環境にも配慮した次世代スタッドレスタイヤ」でOBSERVE GIZシリーズの3代目。新素材と新パターン技術を採用しアイス路面への密着性をアップした。8月から全68サイズを順次発売する。モータージャーナリストの瀬在仁志さんに新商品の性能について印象を語ってもらった。
新素材と新パターンで路面への密着高める
「冬道のさらなる安心感を求め、従来商品とアイス性能を大幅に向上させた」と、グローバルマーケティング部長の吉川誠氏は「OBSERVE GIZ3」（以下、GIZ3）を紹介する。
販売店へのヒアリングでは、スタッドレスタイヤに求められる性能はアイス路面での制動、発進、コーナリング、スノー性能が上位にあげられる。それを背景に、「アイス性能を進化させた商品として開発した。サステナブル素材の採用など、環境にも配慮した次世代のスタッドレスタイヤとして完成した」と、吉川部長は解説。「GIZ3はアイスブレーキ性能22%向上、アイスブレーキの効きが長持ち、転がり抵抗10%低減を実現した」という。
REタイヤ開発部商品開発グループ担当リーダーの荒川幸司氏は「今回は特に密着をキーワードに開発を進めた」と語る。密着性を上げるために、コンパウンドでは持続性高密着ゲル、サステナグリップポリマーという二つの新規素材を採用した。
ゴムのなかに素材をミクロに分散させ、ゴムを全体的に柔らかくすることでアイス路面への密着性を向上。ゲルにより時間が経過しても柔らかさを維持する。同時に経年変化の抑制も図った。また、水となじみやすい素材のNEO吸水カーボニックセルを採用し、路面の水を吸収することで密着力を高めた。
パターンでも二つの新技術を採用。ヘリンボーンサイプは接地圧の分散に寄与し、アッセンブルブロックはブロックの倒れ込みを抑える。新技術を組み合わせることでアイスブレーキやトラクション性能を向上した。
アイスでの制動・発進・旋回性能向上を実感
GIZ3の試乗会は都下のスケートセンターで開催された。テスト用車両はトヨタ・カローラスポーツGX（FF）、装着タイヤのサイズは195/65R15 91Q。従来品のOBSERVE GIZ2（以下、GIZ2）と比較試乗し性能を評価した。氷面の温度はマイナス3度から4度に設定された。
試乗コースは、スタート直後にスラローム走行を行う。ここでハンドリング性能を確認。大きなRを旋回し、コーナーリング時のグリップ力と安定性を体感。コース後半では制動性能を評価。フルブレーキをかけ制動力とタイヤの挙動を確かめる。完全停止後にはアクセルを踏み、発進性能を確認した。
GIZ2の走行後、新商品GIZ3を試乗した瀬在さんは「注目したいのは『なめらかさ』ですね。制動時にABSがこまかく入りグリップの復帰が早い。トラクションも加速してからのつながりがスムーズです。そこが一番わかりやすい違い。GIZ2はその点がちょっと粗いので車両の振れが大きい。また新パターンがポイント。ブロックの倒れ込みを抑えるので、操縦安定性があります」と、第一印象を表現する。
「アイスの発進加速もフィーリングはなめらかでした。発進時にGIZ2はすべりがでて加速が弱かった。それに対しGIZ3はすべりにくい。アクセルを踏むと、しっかりとグリップします。だからアクセルを踏む量が少なくてすみますね」と瀬在さん。
ではブレーキ性能はどうか。「コーナーリングで速度を落とすためブレーキに足を乗せた瞬間、GIZ2はガガっとすべってしまいました。GIZ3はすべるかなと思ってもすぐにグリップが戻る。この差はとても大きい」
「実際の冬道は8割くらいが雪道やドライ路面で走行すると推測されます。そこは改めて、実車で検証したいところですね」と、瀬在さんは指摘したうえで次のように続ける。「時速20キロ程度の氷上性能をみたインプレッションではとてもいいフィーリングでした。ブラックアイスやアイスバーンに近い路面コンディションでの性能を今回確認することができました」
制動性能やトラクション、コーナーリングフィールなど、GIZ3が持つアイス路面での性能の高さを今回の試乗会で実感した。