次世代オールシーズンタイヤ新商品  DUNLOP「SYNCHRO WEATHER」=前編・冬の北海道=

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カテゴリー: レポート, 試乗

 アクティブトレッド技術が真価を発揮

 高いレベルの氷上グリップ性能を示す

北海道での「SYNCHRO WEATHER」試乗会から1
北海道での「SYNCHRO WEATHER」試乗会から

 住友ゴム工業は路面状態に合わせて自ら適した性能に変化するタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」を10月1日から発売する。天候による路面の変化に合わせてゴムの性質を切り換える新技術「ACTIVE TREAD(アクティブトレッド)」を搭載した次世代オールシーズンタイヤだ。2月21日、住友ゴム旭川テストコースで行われた試走会で氷雪上性能を体感した。

 

 天候を気にしない安心感と利便性

 

 「SYNCHRO WEATHER」の商品コンセプトの一つ、〈提供価値〉は「これ1本で天気を気にしない安心感・利便性を提供」——。

 レーダーチャートではスタッドレスタイヤ並みの冬性能を有する。路面状況に適応し夏/冬性能を両立できるという。その秘密はどこにあるのだろうか。

 従来のポリマーはグリップ成分とポリマーが一体で低温では硬くなってしまう。「SYNCHRO WEATHER」では新ポリマーを搭載し、0度C付近でも硬くなりにくいゴム構造になった。常温では従来のポリマーと同様、ポリマーが自由に動いてグリップ力を持つ。0度C付近ではポリマーと一体のグリップ成分が少ないため、ポリマーが動ける。つまり、ゴムの軟らかさが維持できるわけだ。

北海道での「SYNCHRO WEATHER」試乗会から2
北海道での「SYNCHRO WEATHER」試乗会から

 新トレッドパターンを採用し、ウエット(排水性)の良さを残しつつ、アイス、スノーグリップを向上したという。V字溝設計プラス周方向溝が高いレベルでの排水性と排雪性を確保する。サイピングを増加したことにより氷上性能に必要なエッジ成分を確保。氷上走行性能を格段にレベルアップしている。氷上性能と雪上性能を高レベルで両立した。

 サイドウォールデザインには住友ゴム独自の黒色デザイン技術「Nano Black(ナノブラック)」で新商品にふさわしい高級感を演出している。シンクロナイズド・カーブ模様はドライ/ウエット/雪/氷といった路面を表す4本の線が、路面とシンクロしてつながるイメージを曲線で表現した。

 

 冬のさまざまな路面を備える旭川TC

 

北海道での「SYNCHRO WEATHER」試乗会から3
北海道での「SYNCHRO WEATHER」試乗会から

 旭川テストコースは北海道旭川市に設立された総面積21万平方メートルのタイヤテストコースだ。全長1400メートルの周回路をはじめ、氷盤路と圧雪路で構成されたさまざまな路面が配置されている。

 試走会が行われた当日は温度約マイナス6度C、湿度65%前後で晴天。西から風速約3メートルの風があった。テストコース内の試走車はTOYOTAカローラツーリング。タイヤサイズは195/65R15 91H。

 まずは氷上発進。走り出しがスムーズで、アクセルワークに合わせしっかりと加速していく。路面をつかむ感覚が得られる。ブレーキング時の制動距離は短く、横滑りをすることなくまっすぐに止まる。安定感が高い。

 次に氷上旋回。時速10キロ前後で走行するが、外側へと膨らむことなく、滑ることもない。スタッドレスタイヤと比べても大きな差が感じられない。

 雪上性能を評価へ。発進時のトラクション性能も良く、スムーズに加速する。雪をとらえる確かな手応えが感じられる。パイロンをジグザグに蛇行するスラロームコースでもハンドルからの応答の速さを体感できる。

 しっかりと雪をつかみ、しっかりと曲がるので、デリケートな氷雪上路を運転するときでも精神的な余裕が生まれるのではないか。

 「ALL SEASONMAXX AS1(オールシーズンマックス エーエスワン)」と比較したが、氷上性能が格段に進化したことがうかがえる。

 

 あらゆるドライブシーンを楽しく走る

 

 テストコース外周ではメルセデスベンツGLCを使用。タイヤサイズは235/60R18 107H XL。

 氷上に雪が積もった一般道を時速40キロ、約10分かけて一周した。この走行では安定感を最も強く感じる。直進安定性、ハンドリングの応答性は確かで、緊張を強いられない。ワインディングや登坂路でもスムーズだ。タイヤのショルダー剛性がしっかりしていることがわかる。

 一般道にはさまざまな状態の路面があるので、試走し評価するのには最適だ。シャーベット路面でも、雪上路面から氷が見えている路面でも、夏タイヤで走るときのような不安定な挙動は感じられなかった。また、この日は晴れていたため、陽当りのいいところでは乾燥したドライ路面を走る。そのような場面でもドライブフィールに違和感はない。

 開発担当者は「パターン剛性を最適化させ、サイプは位置の最適化を図ることでショルダー部分の剛性を確保した」と説明する。腰砕けのない、しっかりした走りだ。静粛性も高い。摩耗シミュレーションを駆使し、接地圧を分散、均一化することでタイヤ接地面の応力を低減させ、摩耗性能を確保したという。

 オールシーズンタイヤに求められるすべての性能をトータルで高めた。あらゆるドライブシーンで運転することが楽しくなるタイヤだ。


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