次世代オールシーズンタイヤ新商品  DUNLOP「SYNCHRO WEATHER」=後編・夏の岡山=

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カテゴリー: レポート, 試乗

 ドライ・ウエット・ノイズ、高次元で両立

 「水スイッチ」で性能変化を繰り返す

 

岡山TCでの「SYNCHRO WEATHER」試乗会
岡山TCでの「SYNCHRO WEATHER」試乗会

 住友ゴム工業は、次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」を10月から順次発売する。ゴムの性質を切り換える新技術、ACTIVE TREAD(アクティブトレッド)搭載の第1弾商品。前号で、オールシーズンタイヤで世界初の「アイスグリップシンボル」刻印を獲得(同社調べによる)した、その優れた氷上性能を冬の北海道で体感した。それに引き続き今回は6月17日、住友ゴム岡山タイヤテストコースで行われた試走会でのインプレッションをレポートする。

 

 厳しい使用状況を再現する岡山TC

 

岡山TCでの「SYNCHRO WEATHER」試乗会
岡山TCでの「SYNCHRO WEATHER」試乗会

 従来は天候による路面環境の変化によって使用用途の違うタイヤを装着させることが常識だった。だが、ACTIVE TREADはその常識を覆す新技術として注目される。タイヤ自らが水や温度に反応し、能動的にゴムの柔らかさが変化する。それぞれの路面環境変化に応答してグリップ力を保ち、あらゆる路面環境で安心・安全なドライブを実現する。

 一つのタイヤで安全に運転することができれば省資源となり、履き替えを減らすことで地球の環境負荷を軽減することが可能となり、サステナブル社会の実現にも貢献できる。

 岡山県美作市の岡山タイヤテストコースは敷地面積100万平方メートル。全長3.2キロ、コーナーにバンクのないフラットな路面の高速周回路をはじめ、操縦安定性試験路、ウエット路、振動騒音路、タイヤ走行音測定設備など、各種の評価施設を完備する。

 試走会当日は気温約25度C、湿度55%前後で曇天無風というコンディションだった。

 テストコース内での試乗車はTOYOTAカローラツーリング。タイヤサイズは195/65R15。オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER」、夏タイヤ「LE MANS V+(ル・マン ファイブ プラス)」、冬タイヤ「WINTER MAXX 02(ウインターマックス ゼロツー)」、都合3パターンを乗り比べた。

 

 ドライと静粛性、夏タイヤに匹敵

 

岡山TCでの「SYNCHRO WEATHER」試乗会
岡山TCでの「SYNCHRO WEATHER」試乗会

 ドライ路面。1100メートルの直線路を時速70~100キロで走行した。「SYNCHRO WEATHER」の高速走行時の直進安定感は良好だ。スラロームでのハンドル切り返し時もレスポンスはよく、車体の立ち直りがクイックである。上質なハンドリングが運転の愉しさをもたらしてくれる。150Rのコーナーを時速80キロ弱で曲がったが、ふらつきが感じられない。

 凹凸路面通過時でも乗り心地はとても良い。音がマイルドに緩和されている。静粛性はコンフォートタイヤの「LE MANS V+」と比較しても遜色ない。ファミリードライブというシーンで、大きな声を出さなくても楽しいおしゃべりができそうだ。

 「SYNCHRO WEATHER」の性能の高さを強く体感したのはウエット路面での走行シーンだ。水を撒いて滑りやすくした半径60メートルの円旋回路スキッドパッド。ここを時速30~55キロで旋回した。

 スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」は時速50キロくらいでリアタイヤが外へともっていかれてしまう。だが「SYNCHRO WEATHER」は時速50キロを超えてもタイヤが流れることはなく、確実にグリップする。これが「SYNCHRO WEATHER」に採用したACTIVE TREAD「水スイッチ」の真骨頂だ。

 技術関係者によると、「ゴム分子内のポリマー間の結合をイオン結合に置き換えることで水を味方にできる」そうだ。水スイッチのベースとなるイオン結合剤は、水に触れると結合がほどかれてゴムの性質が柔らかく変化する仕組みだという。トレッドの表面に水が浸透してすばやく性能がスイッチする。

 

 アクティブトレッド、水スイッチ・オン

 

 タイヤのトレッドゴム内で何が起きているのか、ドライバーは目にすることはできない。ただ、車内でハンドルを握っていると、水スイッチに切り換わったことがなんとなくではあるが感じとることができた。

 硬いタイヤが水に濡れると柔らかくなる。タイヤが乾けばもとの状態に性質がスイッチする。ACTIVE TREADは水の浸透と乾燥に応じてその都度、ゴムの硬さの変化を繰り返す。

 ウエット路面での走行性能で「SYNCHRO WEATHER」は「LE MANS V+」と比較しても安定感があった。グリップ力も高い。ドライ路面・ウエット路面で制動距離を比較したが差はなかった。気候変動の影響で豪雨に見舞われる頻度が増すだろうといわれる。雨の日に感じるドライブの不安を解消してくれるに違いない。

 

 その真骨頂はウエット性能の高さ

 

 テストコース外の一般道で使用した車はメルセデス・ベンツGLC、タイヤサイズは235/60R18。

 ここでも静粛性の高さを実感した。スラロームでも凹凸路面でもとがった音がしない。トレッドブロックが路面をたたき、パターンの溝内の空気が圧縮・膨張することでパターンノイズが発生する。「SYNCHRO WEATHER」はそれが抑えられている。これは「新カオスピッチ配列技術を適用したからだ」と担当者は説明する。V字のブロックや溝からの音を分散させて音圧やうなりを低減した。夏タイヤと遜色ない静粛性を実現した。

 ドライ・ウエットの両路面でレベルの高いグリップ性能を実現。「SYNCHRO WEATHER」はさまざまな路面コンディションによって受けるストレスから解放してくれる。


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