全国タイヤ商工協同組合連合会(全タ)傘下の組合では、事業活動の一環として「タイヤ空気充てん作業 特別教育講習会」を実施している。労働安全衛生規則で「特別教育を必要とする業務」に指定されたタイヤ空気充てん作業は、一歩間違えれば大事故につながる危険な作業。東京自動車タイヤ商工協同組合による1日がかりの講習会を通して見えてきたのは、行政や業界団体の危機感、今後の事故防止への必死の取り組みだ。高橋朝枝記者が現地から伝える。
タイヤの空気充てん作業時の事故が後を絶たない。事故防止のための啓発活動が繰り返されても依然として毎年のように事故は起こり、人的被害になることもある。1990年(平成2年)より、事業者には自動車タイヤの空気充てん業務従事者への特別教育が義務付けられた。
全タでは独自のテキスト(タイヤ空気充てん作業安全必携・災害事例集)を作成し、各地の特別教育講習会で使用している。今回、東京エリアで実施された講習会は座学と実技の講義が朝8時30分から午後6時まで続くハードスケジュールで行われた。その1日を追った。
会場は自動車大学校。約60名が受講
9月29日、会場となった都内の専門学校「読売自動車大学校」には約60名の受講生が集まった。
まず、大型車の車輪脱落事故防止の啓発セミナーからスタート。国土交通省関東運輸局自動車技術安全部整備課専門官の山田満氏は、大型車の車輪脱落事故が増加傾向にあると指摘し次のように力説した。
「確実な作業をお願いしたい。事故要因には潤滑剤の塗布が不十分というものもあげられる。11月からの冬季に多い。繁忙期に時間がかかる作業をお願いするのは心苦しいが、事故を1件でも減らすためにお願いしたい」
山田専門官は事故防止対策として、確実な作業を行う重要性を繰り返し訴えた。
続いて磯文雄理事長が講師を務める座学。9時から11時はテキスト第1・第2章「タイヤ及びその組込みに関する知識」、10分間の休憩をはさみ11時10分から12時10分まで第5章「関係法令」の講義が続く。30分の短い昼休憩の間も、スクリーンには教材映像が流れ、受講生は昼食を取りながら見る。
午後の部は引き続き座学から開始。テキスト第3・第4章「タイヤの空気充てん作業に関する知識」が2時間かけて解説される。(後編に続く)