移転OPEN すべてがビビッド!  タイヤセンター武生(福井県越前市)

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カテゴリー: レポート, 現地

 グループの強みを活かす店づくり

 最新整備機器そろえカーライフ支援

 

タイヤセンター武生店
タイヤセンター武生店

 北陸新幹線の敦賀への延伸からまもなく1年が経とうとしている。福井県によると、金沢・敦賀間の開業後、県を訪れたひとたちは546万人超にのぼった。前年比2割アップだという。北陸新幹線は東京をはじめとする関東、それに関西、中京、信越を結ぶハブとしての機能を担う。この延伸で交流人口が大きく増加し、地域経済への波及効果も認められた。福井県は観光スポットとして脚光を浴び、新しいページを刻んでいる。その地の老舗タイヤ販売店、タイヤセンター武生店=写真上=がこのほど移転しプレオープンした。

 

 北陸リトレッド3事業

 タイヤセールスグループ

 

 タイヤセンター武生店は、小野谷機工の関連会社である北陸リトレッドのグループ企業、タイヤセールスグループの一つ。

 北陸リトレッドの事業は3分野に大別される。リトレッドタイヤの製造・販売事業、廃タイヤのリサイクル事業、タイヤ販売をはじめカーメンテナンスなどを行うプロショップ事業。

 前2者はリデュース・リユース・リサイクルの3Rという環境の観点から自動車・タイヤ産業を支える。一方、タイヤセールスグループはプロショップとして長年にわたり培ってきた技術とサービス力で、地域の安心安全なカーライフをサポートする。

 タイヤセールスグループは現在、福井県内でタイヤショップ6店舗と、カーメンテナンスのTS CARS(ティーエスカーズ。タイヤセールス車検センターとしてオープンし、後に現名に改称)を展開する。

 タイヤセンター武生店は84(昭和59)年にオープンした。北陸リトレッドではそれまでにタイヤセールス福井店、タイヤセールス武生店を稼働させており、タイヤセンター武生店は3番目。初のフラッグシップ(旗艦)店舗という、重要な位置付けだった。

 

 マイカー普及率ナンバー1

 地域の足元を支える

 

 自動車検査登録情報協会の集計による登録車と軽自動車を合わせた自家用乗用車の保有台数は、24年3月末現在6176万2千台。総務省発表の人口動態と世帯数(24年1月1日現在)は6077万9千世帯。自家用乗用車普及台数として換算すると、1世帯あたり1.016台を示した。普及台数は0.009台微減。17年から世帯あたりの普及台数は緩やかな減少傾向が続く。

 そのような推移のなか、都道府県別で世帯あたりの普及台数トップが福井県だ。1世帯あたり1.685台。2位の富山県1.629台、3位の山形県1.624台の上位3県は安定的な推移をみせる。全国トップのクルマ社会を形成するその福井県で、タイヤセールスグループは強い存在感を放つ。

 北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業で、停車駅を起点とする観光誘致は見込み以上に果たされたようだ。それに対し、新幹線乗り入れ前まで並行在来線として乗客の輸送を担っていた北陸本線は第三セクターに移管された。在来線の利用者は減少傾向にある一方、代替手段となるバスや自家用車、法人車の利用頻度は高まる。クルマ社会が一層進みタイヤの市場規模を押し上げることが期待される。

 そこで求められるのが地域社会のインフラを支え、ニーズに密着するタイヤ販売店。タイヤセンター武生店はそれまでの越前市家久町30-11から越前市家久町29-11-1へと移転。広い敷地を活用し、駐車場やピット作業場、店舗スペースを拡張した。春の交換需要期を前に、このほどプレオープン。2月28日と3月1日の両日には開店記念の特別イベントを計画。春商戦に向けた独自の新商品体感試乗をはじめ、キッチンカーの出店を行うという。

 

 最新整備機器を常設

 技術サービス力アップ

 

 タイヤセンター武生店の特長の一つは、小野谷機工が開発・製造するタイヤ整備機器の最新機種を店舗に導入したこと。タイヤは日々、進化を遂げている。整備機器はその進化にタイムリーに対応することが求められる。使うユーザーの声を反映し、アップデートされなければならない。整備機器も常に進化が求められるのだ。

玉村嘉章部長
玉村嘉章部長

 高い技能スキルが要求される作業現場で最新の整備機器を導入することは、技術の確かな裏付けとなる。店にとって大きな訴求ポイントとなり、作業品質の向上は来店客の満足度アップにつながる。タイヤセールスグループを率いる玉村嘉章部長=写真中=は「日ごろから作業標準を徹底し、高い品質レベルを維持してきている。今回ここに最新の機器を導入したことで、作業効率が高まるとともに作業品質が一層向上する」と話す。

 実際の店舗で機器を稼働するのだから、タイヤ整備機器メーカーにとってショーケースの枠を超え、強いリアリティを示すこととなる。ONODANI(オノダニ)グループの強みを生かした戦略だと言える。

 

 軽労化と作業環境向上

 トータルでニーズに応える

 

機能的な作業場
機能的な作業場

 もう一つの特長は機能的な作業場を実現したこと。生産財は3レーン、消費財は2レーン、それぞれ専用に設けた。生産財ではフルオートタイヤチェンジャーをはじめ、自動空気充てん装置を搭載したセーフティケージ、天井吊り下げ装置のバリアスツールハンガーなど各種の機器を複数で備える=写真右=。

 消費財の1レーンでは作業補助テーブルのイージーシステムを中央に、タイヤチェンジャーとホイールバランサーをその左右に配した=写真左=。それによりフラットの状態で作業を行うことを可能にする、先進的な作業ラインだ。

作業補助テーブルのイージーシステム、タイヤチェンジャーとホイールバランサー
作業補助テーブルのイージーシステム、タイヤチェンジャーとホイールバランサー

 ピット作業場の高さを旧店舗3.8メートルに対し新店舗は5メートルへと一気に高くした。レーン同士の間隔も開け、作業動線を大幅に拡げた。また、各種機器で作業するエリアにはエアコンから分配のエアホースを取り付け、作業環境の改善にも取り組んだ。

 「作業を行うひとの立場で軽労化・省力化の実現をめざした」と、玉村部長は話す。日本では労働人口が減少し、なかでも整備士不足は深刻な状況。作業環境を向上するなどES(従業員満足)を高めることで、会社へのエンゲージメント向上を図っている。

 

QRコードは小野谷機工の展示場の動画
QRコードは小野谷機工の展示場の動画

 中期的にどのような店になっていたいかと問うたところ、玉村部長は次のように答えた。「この店を中心として商圏内のお客様をもっと取り込んでいきたい。当社には高いサービス力と技能スキルを持つスタッフが揃っており、最新の機器を導入している。タイヤサービスカーという機動力を持つ。リトレッドタイヤという母体も当店にはある。お客様のニーズにトータルでお応えすることで、大きく成長していきたい」。

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