タイヤ新商品試乗レポート  住友ゴム「SPORT MAXX LUX」

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カテゴリー: レポート, 試乗

 走りを楽しめる、静かなプレミアムタイヤ

 

SPORT MAXX LUX試乗1
SPORT MAXX LUX試乗

 ダンロップ「SPORT MAXX LUX(スポーツマックス ラックス)」は2月に上市されたプレミアムコンフォートタイヤ。従来の「VEURO(ビューロ)」から「SPORT MAXX」へとブランドを転換。シリーズで定評のある操縦安定性に加え、静粛性を追求した新商品だ。都内で行われた試走会では、より進化した静粛性を体感した。

 

 「SPORT MAXX」

 3商品がそろう

 

 「SPORT MAXX」シリーズは、住友ゴム工業が展開するダンロップブランドのフラッグシップタイヤ。

 同社は今年1月、欧米・オセアニアにおけるダンロップブランドの買戻し契約を締結した。それによりダンロップブランドのグローバル展開をさらに積極的にすすめる戦略をとる。そのダンロップ「SPORT MAXX」シリーズに3商品が出そろった。

 安定性を追求した「SP SPORT MAXX 060+」(以下、060+)はひと足早く22年3月から日本をはじめ海外で展開。ハンドリング性能とグリップ力を発揮する「SPORT MAXX RS」(以下、RS)は24年6月から発売した。そして今回、新たに誕生したのが「SPORT MAXX LUX」(以下、LUX)だ。

 同社はダンロップブランドのフラッグシップタイヤのラインアップを強化し、市場で攻勢を強める構え。プレミアムタイヤの販売比率を上げ収益力の一層向上をめざす。

SPORT MAXX LUX試乗2
SPORT MAXX LUX試乗

 LUXは「静かに走る。なのに走りを楽しめる。“没入”の時間へ。」がキャッチコピー。「静かで心地よい車内環境、思い通りに運転できる満足感で運転を楽しみ、さらには没入する体験を届けたい」という商品コンセプトだ。快適性と運動性能を高次元で実現した新たなプレミアムコンフォートタイヤとして投入した。

 RSはグリップ性能特化、060+は街乗りからスポーツまでバランスよく走るバランス型。それらに対しLUXは優れた運動性能を発揮しながら静粛性能を高めた。

 従来品(VEURO VE304)よりパターンノイズ14.9%、ロードノイズで8.8%低減した。これは新たに採用したサイレントウェーブテクノロジーによる効果だという。

 タイヤ事業本部第一技術部の小嶋燿太氏はつぎのように解説する。

 「一般的なタイヤのノイズはドライバーの耳につきやすい周波数となっていて、不快な音に聞こえる。そこでこの周波数に着目し、各周波数帯にピンポイントで効く三つの技術を採用した。それにより周波数の波形がなだらかとなりノイズが気にならない環境、快適な車内音を実現した」

 具体的には、タイヤの横溝角度を最適化。溝同士をシームレスにつなげ、ブロックと溝を交互に接地することでパターンノイズを軽減する技術を採用した。

 もうひとつの「デュアルスロープ」技術は主溝の底に凹凸を配置し、空気の流れを阻害することでノイズを起こりにくくする。

SPORT MAXX LUX試乗3
SPORT MAXX LUX試乗

 そして三つ目の技術、特殊吸音スポンジ「サイレントコア」は、タイヤ内部の空気振動を吸収しノイズを低減する。このスポンジを最適形状に専用設計し容積を増やすことで吸音性を高めた。

 操縦安定性は「SPORT MAXX」シリーズ共通プロファイルの「マックス・ドライバビリティ・テクノロジー」を採用した。フラット部分を広げて接地面積を広く確保することで、接地面全体が効率的にグリップする。そのためレーンチェンジ時の操舵角などハンドリング性能が向上した。

 

 EVもガソリン車も

 “没入”時間を演出

 

 試走会の車両はSUVタイプのMercedes‐Benz(メルセデス・ベンツ) GLCだ。タイヤサイズは235/60R18。都内の一般道、高速道をステージに試走した。

 LUXの優れた静粛性を走行開始直後から実感した。窓を開けても、試走車のタイヤの音よりも隣を走る車のタイヤのほうがより大きく聞こえるほどだ。パターンノイズの低減が感じられる。

 サイレントコアの効果は、路面の突起を乗り越した際に、より一層体感することができた。振動はもちろんあるのだが、乗り越すとすぐにすっと振動も音も収まる。サイレントコアによりタイヤ内部の空気振動が抑制されているため。ノイズ低減はもちろんだが振動もその分少ない。粗い路面を走るシーンでその差がはっきりと感じられた。

 また、操縦安定性の高さはカーブ時に実感した。路面をしっかりとグリップしながらコーナリングしていく。“没入感”につながる静粛性、安定性だといえる。

 

 試走後にはグローバルマーケティング部の宮坂準課長、技術本部第一技術部開発統括担当兼商品開発担当の岡田崇史部長が解説を加えた。

 宮坂課長は「LUXはあらゆるお客様、EVにもガソリン車にもお勧めしたい」と強調。SPORT MAXXシリーズは欧州でも日本でも新車装着がメインだったが、「今後はリプレイスでもユーザーから『SPORT MAXXを』と求められるように、ユーザーとコミュニケーションしていきたい」と意気込みを語った。

 岡田部長は「今までは技術側でもOEMとリプレイスが別々に開発に取り組んでいた面があるが、(タイヤ事業本部として組織が一本化されたことで)社内でお互いの知見を生かしてより良いものを提供できるようになれば」と語る。ダンロッププレミアムタイヤの旗頭となるLUXの性能に強い自信をみせた。

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