東洋精器工業(兵庫県宝塚市、阿瀬正浩社長)は2016年、創業70周年という大きな節目を迎えたことを機に、ホイールバランサーの製品戦略について見直しを図っている。
主力製品の一つ、ホイールバランサーではこれまで、「TRIM」(トリム)と「PRESTO」(プレスト)と、2つのシリーズを上市していた。それをこのほど「TRIM」シリーズに集約化。太田正彦取締役は「初心に帰り、東洋精器のホイールバランサーは『TRIM』と、お客様へのアピールを強めていきたい」としている。
ルックス向上。コストパフォーマンスを追求
その「TRIM」シリーズの最新モデルとして、このほどラインアップに加わったのが「TRIM BP-67」と「TRIM BP-68」の2機種。「BP-67」のほうがスタンダード仕様、「BP-68」はワンランク上のデラックス仕様という位置付けとなる。両新製品ともにコストパフォーマンスを追求しながら、実用性に富んだ機能をフル搭載している。
販売企画部課長製品・技術部門リーダーの小出哲裕さんに実演デモを交え解説してもらった。
新製品で特徴的なのは、そのカラーリングだ。つや消しのマットブラックを採用した。これは先に、創業70周年を記念して販売を始めたタイヤチェンジャーの新製品「PIT ATHLETE-Ⅱ」(ピット・アスリートツー)に続いてのもの。
これまで、タイヤチェンジャーやホイールバランサーは赤色で塗装されたものがほとんど。そんな“既成概念”を打ち破り登場したのが「PIT ATHLETE-Ⅱ」だった。精悍で高級感の漂うそのカラーリングは、「タイヤ販売の現場から高い評価を得た」(太田取締役)という。当初、創業70周年の今年のみ、期間限定での展開を考えていたようだが、市場から好評で迎えられていることから、今後もマットブラックのカラーリングによる製品ラインアップ拡充を図る考えだ。
「TRIM BP-67/BP-68」で共通し採用したのが「リム径・距離自動入力ユニット」。アルミホイールの内面修正を行うときに標準搭載のこのユニットを使うことで、わずか2アクションでリムデータの入力が完了する。「スケールアームのウェイトクリップを用いた、正確な内面貼付ウェイト修正が可能です」と、小出さんは続ける。
加えて「BP-68」のみに搭載した機能が「リム幅自動入力ユニット」。このユニットをホイールのアウターリムに当てるだけで、そのリム幅を自動計測し本体に記録される。リムデータをわざわざ手入力する必要がないので、打ち込みウェイトでのリムデータ入力作業の工程を1つ省けることでこの場合も2アクションで入力が完了する。作業効率の向上に寄与する機能だ。
アンバランス修正作業は作業場が暗いとなかなかやりにくいのが実情。そこで新製品ではLED照明を標準搭載した。位相位置で停止すると同時にLED照明が点灯する仕組みだ。キー操作で任意位置で点灯させることもできるという。明るいLED照明により、リムの内面全体の視認性が良くなるので、修正作業がよりしやすくなる。
またタイヤガードも標準装備。石ハネや巻き込みと、安全面への観点からガードを閉じると自動で回転が始まるカバースタート機能を有している。
位相位置のロック方式は、「BP-67」がペダルロックタイプ。小出さんは「ウェイト取付時にペダルを踏むことでホイールを任意の位置で固定することができるので、修正位置のズレ防止に効果的」と言う。
一方「BP-68」は電磁ロックタイプ。「ウェイト修正位置で自動的に電磁ロックが作動し固定するので、スムーズでスピーディな作業を行うことができます」、小出さんはこのように電磁ロック方式の特徴を解説する。
さらに「BP-68」には「位相レーザーライン機能」を標準搭載した。ウェイトを内面に貼り付けるときに、電磁ロックが作動し真下となる「6時」の位置で自動的に回転が停止すると同時に赤色のレーザーラインがガイドとして照射される。
もっとも振動が起こりにくい状態でタイヤとホイールの位置を組み合わせる「マッチング機能」や、ウェイトを2分割し隣り合うスポークの裏に配する「ビハインド機能」といった上級機種に搭載される機能も標準装備している。またLTアタッチメントやMCアダプターなどオプション品も豊富に用意している。
「ホイールバランサーに求められる機能を標準で装備しながら、すぐれたコストパフォーマンスを実現しました。高い精度と作業性の良さはもちろん、ピットに映える外観ルックスがアピールポイントです」と小出さん。「TRIM」シリーズに新たな系譜が誕生した。