【東洋精器工業】エア充てん時に無線リモコンを活用

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カテゴリー: レポート, 整備機器

 タイヤの空気充てん作業を行うとき、万一の破裂事故から身を守るのに必要不可欠な機器がセーフティーケージ(安全囲い)である。ただ、作業の流れにおいて、セーフティーケージの中にタイヤを入れるという工程が加わることから「面倒だ」と、ついそれを省いてしまうケースが見られるようだ。

 そのような現実に対し、タイヤ整備機器を供給する企業は手をこまねいているわけではない。エアーチャックを接続すると自動的に空気充てんを開始する機能などを搭載したエアー充てん機を開発。それをセーフティーケージに取り付けセットで使用するというシステムを提案している。

「エアーメイト」本体
「エアーメイト」本体

 そのシステムを使えば、ケージ内でタイヤに空気充てんを行っている間、作業スタッフがケージの側に張り付いている必要はなくなる。危険と隣り合わせという状況を回避することができる上、その間に他の作業を行えるというメリットが生まれるわけだ。

 一方、セーフティーケージへの要求も、よりシビアになってきている。これまでは破裂したタイヤのカケラやホイールリングなどの飛散を防止することが第一義だった。だが事故が起きたとき、人や物への損傷はそれらのみによるとは限らない。破裂したときに生じる爆風。その威力の凄まじさは想像の範囲を超える。破裂時の爆風をいかに分散させ衝撃を和らげるかが、セーフティーケージに対する性能要求となっている。

 タイヤ空気充てん作業の際に使用する一連の機器の開発に注力して取り組み、製品ラインアップの拡充を図っているのが東洋精器工業だ。

 セーフティーケージでは乗用車&ライトトラック用「TD-PC」、トラック・バス用「TD-TBe」を中心に販売展開中。出張作業向けには、LT/TB用の携帯型「セーフティーバッグ」や、折り畳み型で移動式の簡易ケージ「T-1F」などを開発し、市場で高い評価を得ている。

 また、爆風対策にもいち早く取り組んでいる。同社製セーフティーケージ専用に開発した「爆風保護シート」をはじめ、「TBケージ用防爆シート」、折り畳み型移動式ケージに爆風保護シートをプラスした「T-3FS」と、使用する場所や作業スタイルに応じ、キメの細かい製品ラインアップを実現した。

 これらセーフティーケージに取り付け可能なエアー充てん機では「エアーメイト TM-150P/W CL」を販売中だ。

緊急停止専用リモコン
緊急停止専用リモコン

 オートスタート機能をはじめ、過充てんした後に指定空気圧まで減圧することでより確実にビードシーティングを実現するビードシート機能、誤った高圧設定の可能性を感知すると充てん動作を中止するセーフティーチェック機能、内圧自動全排出機能など、実用性に富んだ機能をフルに搭載している。

 その「エアーメイト」シリーズ全モデルに、同社はこのほど、無線リモコンを新たに標準搭載した。空気充てん作業中に異変を察知したら、離れた場所からボタン操作1つで緊急停止とタイヤ内圧の自動排気を瞬時に行うことができる。

 315MHz電波を使用することで、半径20メートル程度の距離をカバー。充てん機を複数使用しているときに異常を感知した場合、ボタンを押すとすべての充てん機本体が即座に作動するので、緊急のタイミングに作業者がどのタイヤが異常かを判断する必要がない。

 リモコンはマジックテープなどで任意の場所に固定することが可能。また、オプションでリモコンの追加が可能なため、複数の場所に設置したり、複数の人が所持することもできる。コードレスなので、機動性に優れているのも特徴だ。

 同社販売企画部の小出哲裕課長は、「危険回避は時間との勝負。エアー充てん時にビードが切れる音を聞いたら、本体に近付かず、一刻も早く離れ身を守ることが大事。機動性の高いリモコンは瞬時に危険から回避できる機能」と説明している。


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