日本ミシュランタイヤは7月4日、都内のスケートリンクで乗用車用スタッドレスタイヤの新商品「MICHELIN X-ICE3+」(ミシュラン エックスアイス スリープラス)の試乗会を開催した。新商品は最新のコンパウンド技術により、新品時だけではなく摩耗が進んでもアイス性能を維持できる点が最大の特徴となっている。その性能は――。
高い性能を維持するための「Mチップ」
「X-ICE3+」の商品コンセプトは“アイスで止まる安心感。永く効き続ける信頼感”。同社が昨年実施したアンケートによると、一般ドライバーのスタッドレスタイヤの交換の目安は2年~5年で、タイヤの残り溝は「50%くらいになるまで使い続けたい」というニーズが多いことが分かった。その結果を踏まえて、「新商品はアイス性能を追求し、それが持続できる性能にこだわって開発した」(マーケティング部ブランド戦略マネージャーの望月一郎氏)。
「X-ICE3+」はパターンなどは従来品(X-ICE3)を踏襲しており、一見すると大きな違いは見られないが、新品時のアイス性能は4.5%向上しつつ、1万kmを走行した状態では11.5%の性能改善を図っている。
その性能実現のカギはコンパウンド技術「表面再生ゴム」となる。「Mチップ」と呼ばれる物質を採用することでブロック剛性が維持され、様々な路面で性能を発揮するだけではなく、摩耗が進むと「Mチップ」が溶け出し無数の穴が現れ、氷の表面にある水分を除去する。そして常に表面に穴が再生されるため、性能が持続される仕組みだ。
新旧商品で制動距離に1.3mの差
試乗会では新商品と旧商品をトヨタ・プリウスに装着して、新品時および1万km走行後の摩耗時における制動距離の違いを確認した。その結果、時速15kmからフルブレーキをかけて、新品時に0.6m、摩耗時では1.3mほど手前で止まることができた。
実際にハンドルを握ってみても明確な違いが感じられる。従来品ではタイヤが空転するタイミングでも新商品はグリップ感が高いため、スムーズに加速する。指定された速度に達するまでの距離も短く、その後に試乗した比較対象の商品では「まだ到達しないのか」と狭いコース内では怖さを感じてしまうほどだ。
今回は一般道を試乗する機会もあり、スケートリンク周辺の市街地でドライ性能を試してみた。交差点を加速しながら曲がるようなシーンでもスタッドレスとは思えないほど反応が良く、マンホールなどの突起を乗り越えた際の収まりも違和感がない。
さらに驚いたのはその静粛性の高さだ。耳障りな音が抑えられており、あたかもコンフォートクラスの夏タイヤのような静かさが印象的だった。
今回はアイスとドライ路面でその性能を体感したが、スノーやシャーベットなどでも従来品同等のレベルを確保しているという。
ミシュランが主に日本のユーザーに向けて、日本で開発した新商品「X-ICE3+」。その性能の高さや全体的なバランスの良さを多くのユーザーが実感することができれば、ライバルを驚かす存在となりそうだ。